初夏を思わせる陽気となった令和7年3月25日、東京藝術大学の卒業?修了式が行われました。
式は日比野克彦学長と音楽学部邦楽科の教員によるパフォーマンスで幕を開けました。舞台奥に日比野学長が登場し、笙と篳篥の雅楽の音色に合わせて筆を動かしていきます。日比野学長が装着しているVRゴーグルには、演奏者の手元の画像がリアルタイムで映し出されており、耳と目から感じ取った音楽を、手そして筆を通して紙の上に表現していきます。雅楽に続き小鼓の音が響き渡ると、筆さばきもダイナミックに、リズミカルになります。最後は尺八と筝の共演に合わせて力強く筆を動かし、高さ約8メートルの壮大なペインティングが完成しました。
選曲と構成を担った藤原道山教授は、「今演奏されたのは、1300年前から続いてきた『雅楽』、室町時代に能の音楽として発生し江戸期に劇場の音楽として発展した『囃子』、そして現代の筝と尺八の音楽、その三種類の音楽です。古典から現在そして、卒業?修了生がつくっていく未来にバトンを渡したいという気持ちを込めて選曲しました」と解説しました。
続いて、学位記および修了証書の授与、卒業?修了買上作品認定書の授与、そして各賞の授与が行われました。また、各学部?研究科長、理事からのお祝いの言葉が述べられました。日比野学長が提示したテーマは、「続けてきたこと、続けようとしたけれど続かなかったこと」です。それぞれのエピソードと共に、卒業?修了生にエールが贈られました。
閉式の奏楽は音楽学部の前身である東京音楽学校の教育にも貢献した、宮城道雄作曲の「春の海」。継承されてきた伝統が現在そして未来へとつながるような、希望に満ちた演奏をもって、卒業?修了式は幕を閉じました。
日時:令和6年3月25日(月) 11:00~12:10 場所:奏楽堂 式次第 令和6年度卒業?修了生 奏楽 |