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藝大リレーコラム - 第十七回 北澤華蓮 「コロナと社会」

連続コラム:藝大リレーコラム

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第十七回 北澤華蓮 「コロナと社会」

「4月、5月あたりには落ち着いていくだろう」
そんな言葉を聞いたのはいつのことだったか。最近は数日に1回の買い物以外、ほとんど出かけることのない私には、毎日電車に乗り、大学に通っていた頃が懐かしく感じられる。

ワークショップやコンサート、2月末からだんだんと本番の中止を伝える連絡がくるようになった。連絡を受けては、手帳に書かれた予定に線を引いた。私は手帳に引かれる線が増える度に、コロナウイルスの感染の広がりを感じた。
友達と最後に会ったのは、上野のキャンパスに最後に足を踏み入れたのはいつだったか。せっかく会えたあの日に、誕生日プレゼントを渡せばよかった。そう思いながらもう3ヶ月が経とうとしている。

コロナの感染が拡大してから、人々は集まることを避け、できるだけ家にいることを求められるようになり、私たち学生の生活も大きく変わった。友達のなかには、オンラインで授業が受けられ、長時間かけて通学をしなくても良い生活が体に合っていて良いという子もいれば、早く学校の練習室を使って思い切り練習がしたい、学校の図書館で勉強がしたい、制作できる場所がなくて困るという切実な声も聞く。

しばらく学校において実技授業を受けることができないため、休学をする友達もいる。私も休学については今とても悩んでいる最中で、藝大に通う理由や、何を学びたいと思ってこの大学に入学したのか、どうして音楽を学ぶのか、などコロナの感染が拡大するなか、改めて自分と音楽、芸術の関係について考えている。
私たち学生は、今後コロナによってどんどんと状況が変わり、先が見えず不安な中でも、自分の進む道を考え、動いていかなければならない。
コンサートの形は今後どの様に変わっていくのか、世の中は今までとはどの様に変わっていくのか。無事にコロナが収束したとき、この国の芸術文化はどうなっているのだろう。

今回のコロナ感染拡大では、誰もが、経済、生活、様々な面で影響を受けてしまい、問題に直面している。これらの様々な出来事を見ていて思うのは、困っている人が「助けて」と言うことに対して、「みんな大変なんだから、我慢しろ。」と言うのでなく、「みんな大変なんだね。一緒に声をあげよう。」と言える社会であってほしい、ということだ。
困っている人が「助けて」と言いやすい社会は、誰もが生きやすい社会であると私は思う。

今回のコロナのように、いつ何が起こるのかは誰にもわからない。そんな世の中だからこそ、誰もが安心して生きられるような社会であってほしいと願う。
学生として、一市民として。


(現在東京藝術大学音楽学部器楽科3年 北澤華蓮)

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写真(上):2019年9月 ずーぱ!ワークショップ中(左)

 


【プロフィール】

北澤華蓮
東京藝術大学音楽学部器楽科3年 長野県佐久市出身 4歳からヴァイオリンを始める。 アウトリーチやワークショップ活動に関心を持ち、WSグループ「ずーぱ!」のメンバーとして、鳥取県や長野県の小学校でワークショップを行う。 東京都立総合芸術高校音楽科卒業 現在東京藝術大学音楽学部器楽科3年に在学中