オペラ《長安悲恋（ちょうあんのこい）》初演?演奏会形式　～ 東京藝術大学教授?松下功追悼コンサート～

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原作?台本/ 夢枕 獏? ? 作曲/ 松下 功
オペラ《長安悲恋（ちょうあんのこい）》初演?演奏会形式　
～ 東京藝術大学教授?松下功追悼コンサート～

?今回の追悼コンサートに寄せて

このオペラの作曲者、松下功は、この公演の準備がまさに佳境に入ろうとした矢先、突然の大動脈解離でこの世を去った。残された我々は、このオペラを、なるべく彼の意図に沿った形で上演し、天国の彼に届けたいと思う。　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　

東京藝術大学演奏藝術センター 一同

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?出演

井 真成：吉田 浩之 （テノール）　　
侍女 鈴鈴：平松 英子 ( ソプラノ)
楊 貴妃：佐々木 典子( ソプラノ)
玄宗皇帝：福島 明也 ( バリトン)
詩人 李白：新海 康仁 ( テノール)
阿倍仲麻呂 ：萩原 潤 ( バリトン)
高 力士：彌勒 忠史 ( カウンターテナー)
李 亀年：櫻田 亮 ( テノール)　　
陰陽師/ 陳 玄礼：伊藤 純（ バス）
語　り：夢枕 獏（作家）
指　揮：湯浅 卓雄
管弦楽：東京藝術大学特別オーケストラ
　　　　　　 ( コンサートマスター　澤 和樹)
合　唱：東京藝術大学特別合唱団
　　　　　　　　 （ 合唱指揮　谷本 喜基）
衣　装：コシノ ジュンコ
ステージング：小野寺 東子
コレペティートア：前田 佳世子/ 朴 令鈴

?あらすじ
　阿倍仲麻呂（兆衡）と井真成のふたりは友人同士である。いずれも、美しい青年で、きらびやかな才能がある。共に遣唐使として唐へ渡る。仲麻呂は、唐の国で出世してゆくが、真成は出世もおくれ、思うにまかせぬ日々をすごしている。仲麻呂の才能がすばらしすぎるため、真成の才能が人々にはひとつ低く見られてしまうのである。真成、酒に溺れる日々なるも、心には一片の純情と志が残っている。そして、ようやく仲麻呂のひきたてで真成は、華清宮の宴会へ顔を出すことができた。しかし、そこで、真成は、初めて貴妃の衣裳を着た鈴々と出会い、ひと目ぼれしてしまう。このことを知るのは仲麻呂と李白のふたりだけ。鈴々は、真成は実は、自分ではなく貴妃のことが好きなのではないかと思っている。不安と嫉妬で苦しい。皇帝は、貴妃に自分が与えてやれるものが、権力しかないとわかっていて、心を傷めている。自分には権力と、金しかない。若さが欲しい。それを高力士が支えている。そして、安禄山の乱が起こり、長安から逃げてゆく皆々。馬嵬駅で、兵と民が反乱して、貴妃を殺せと迫る。そして、貴妃の身がわりとして、鈴々が殺されることとなる。高力士、ベルベットのリボンで、鈴々の首を絞めようとする。その直前、真成が鈴々を助けて、二人は逃げようとするのだが、高力士が、二人が逃げてゆくのを見てしまう。ついに逃げ切れず、死んでゆくふたり。真成の墓誌を作ってそれを歌う仲麻呂。

　　夢枕 獏（《 長安悲恋》台本巻頭より）

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?幻となった初演から7 年

　2012年、日中国交正常化40周年を記念して、日中合同の出演者によるオペラが計画された。台本は夢枕獏、作曲は松下功で制作には多数の人間と組織が加わり、数年前より準備が進められていた。およそ1300年前に唐に渡った遣唐使?井真成と、楊貴妃の身がわりとなって矢に打たれた鈴鈴の愛の物語。2004年の西安における井真成(734年36歳で西安没)の墓誌発見を機に構想されたもので、井真成に加え、唐の玄宗皇帝（685～762）、楊貴妃(719～756)、唐の高官?阿倍仲麻呂（兆衡 698～770）、詩人?李白（701～762）らが、それぞれの立場の思いを綴るダイナミックなグランド?オペラである。
　日中国交正常化40周年記念文化行事として、日中合同の歌手?演奏者による初演が2012年の秋、西安と北京で予定されていた。台本も作曲も書き上がり、制作は順調に進んで行った。スタッフ?作曲家たちは何度も現地に足を運んで準備を進めていた。歌手も練習に入り、舞台美術?衣装の打合わせに入った夏の終わり、日中間に越年の島を巡る問題が勃発した。政治と文化は切り離すべきとの話も出たが、日本に対する暴動が起こるなど、現地でオペラ上演ができる雰囲気ではなくなり、やむなく中止となってしまった。制作にかかった費用など膨大な赤字が出て、このオペラはお蔵入りとなってしまった。以来、何度も日中合同で演奏しようという動きが出たが、超えるべき壁が高く、実現に至らず今日に至っている。そこで2019年3月、東京藝術大学を退任するにあたって、演奏会形式で初演することとなった。歌手陣は東京藝術大学声楽科の教授陣を中心に日本のトップメンバーが揃い、オーケストラには澤和樹学長をコンサートマスターとする豪華演奏陣が集う。さらに台本の作家で本学客員教授の夢枕獏の語り、デザイナーのコシノジュンコが衣装を務めるなど、日本のオペラの歴史に一石を投じるほどの大きな企画となった。　　

松下 功（生前に用意していたプログラム?ノートより）

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?松下 功 Isao Matsushita（1951.11.23～2018.9.16）
　作曲家?指揮者/東京藝術大学副学長?演奏藝術センター教授

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院修了。作曲を南弘明、黛敏郎に師事。DAAD(ドイツ学術交流会)給費生としてベルリン芸術大学に留学。尹伊桑のもとで研鑽を積む。日本音楽コンクール作曲部門入賞、メンヒェングラートバッハ市第3回アンサンブリア国際作曲コンクール第1位、第7回入野賞受賞。世界音楽祭World Music Days グラーツ?香港?メキシコ、スロヴァキア大会、ベルリン芸術週間、アジア音楽祭等、多くの音楽祭でその作品が演奏されている。1998年、長野冬季オリンピックにおいて行進曲《信州民謡パラフレーズ》や、オペラ《信濃の国?善光寺物語》の作曲を担当する。和太鼓協奏曲《飛天遊》は、ベルリン?フィル、ザグレブ?フィル、シドニー交響楽団、東京フィルハーモニー交響楽団、広島交響楽団を初め世界各地のオーケストラで演奏され好評を博している。これまでに聲明オラトリオ《天竺憧憬》《密教傳來》、オペラ《遣唐使》～阿倍仲麻呂～などを手がけている。2016年仏教伝道文化賞沼田奨励賞を受賞。東京藝術大学副学長?演奏藝術センター教授。天津音楽学院客員教授。2012年より(一社）日本作曲家協議会（JFC）会長兼国際部長、1999年～2004年および2014年より(一社）アジア作曲家連盟（ACL)会長。2017年(一社）アーツ?イノヴェーション?プロジェクト(AIP)理事長。この他2020東京オリンピック?パラリンピック競技大会文化?教育委員、アンサンブル東風代表、カメラータ?ナガノ音楽監督、文京区民オーケストラ指揮者、シンガポール?チャイニーズ?オーケストラ国際顧問を務めた。2018年9月16日、文京区民オーケストラとの練習中に倒れ、逝去。10月アジア作曲家連盟台湾大会で、名誉会員に選出された。

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※スケジュール?出演者等は都合により変更となる場合がありますので、ご了承ください。