本学芸術情報センターの大谷智子助教、中村美惠子芸術情報研究員、磯谷悠子非常勤講師らが所属する錯視ブロックワークショップグループの活動が、第11回キッズデザイン賞(主催:キッズデザイン協議会、後援:経済産業省、消費者庁、内閣府)の「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」部門にて「経済産業大臣賞(部門優秀賞)」を受賞しました。
自由に組み合わせることのできるブロック型玩具(錯視ブロック[1][2])をツールとして、自発的な手の運動を元に多視点から錯視を観察する場を準備することで、日常での気づきにつなげるワークショップです。
ツールのデザインには、能動的な観察を自然に誘発するという目的でブロック型玩具を取り入れています。場のデザインには、試行錯誤、観察の反復、最適な視点を探す工程を取り入れました。これらのデザインにより、体験と知識の関係を意識化できるようになっています。ワークショッププログラムは、発達段階や主催者の目的などに応じて複数用意しています。
ワークショップグループには心理学や美学、情報工学等の研究者とデザイナーがいます。視覚の心理学で扱う観察や分析といった科学的思考プロセスに、ものを作るときの試行錯誤、複数の人での議論といった協調的な表現創造プロセスをかけあわせて、視覚の不思議を楽しく、自然に考えるワークショップを目指して活動しています。
[1]大谷?渡邊?丸谷(2010). 認知科学学会誌, 17, pp.580-588.
[2]T. Ohtani, and Y. Higaki (2017). The 11th Asian Forum on Graphic Science 2017, Paper#F30.
活動名 | 錯視ブロックワークショップ |
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採択者 | 錯視ブロックワークショップグループ(代表:大谷智子) |
活動概要 |
自分の手で触るモノが錯覚を引き起こす。絵や画面の中ではなく、現実の物体で錯覚が起こることを体験できる。自分で創った錯視を、様々な方向から観察すると、錯視の強さが変わることに気づく。 |
受賞活動に関するURL | https://opticalillusionblock.tumblr.com/ |
錯視は「視覚における錯覚」で形や長さ、方向などが特定条件や要因のせいで実際とは違って知覚されることである。錯視を活用して、子どもの科学的な見方や考え方の学習につなげようという意欲的試みである。見る角度によって異なる形になるなど、思いがけない発見があり、身体性を伴いながら自らの知覚の不思議に気づくことができ、ファッションや建築などの幅広い分野にも活かされる知見である。
継続的な活動であり、その結果からも有効性が認められる、クリエイティビティを喚起する秀逸なパッケージと言える。
キッズデザイン賞は、「子どもが安全に暮らす」「子どもが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」ための製品?空間?サービスで優れたものを選び、広く社会へ伝えることを目的としています。子どもが使う製品はもちろん、大人?一般向けに開発されたものでも、子どもや子育てへの配慮があれば応募可能です。日用品から住宅、街づくり、ワークショップ、調査研究まで幅広い分野が対象となっています。受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められます。
2017年は、「第11回キッズデザイン賞」を298点(応募数462点)が受賞し、この中から、最優秀賞「内閣総理大臣賞」1点、優秀賞「経済産業大臣賞」4点、「消費者担当大臣賞」1点、「少子化対策担当大臣賞」2点、「男女共同参画担当大臣賞」1点、特別賞「東京都知事賞」1点などが、授与されました。
キッズデザイン賞は、「子どもたちの安全?安心に貢献するデザイン」「子どもがたちの創造性と未来を拓くデザイン」「子どもたちを産み育てやすいデザイン」という3つの部門が設けられています。今回受賞した「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」部門の選定基準は、子どもの感性?創造性の育成、多様な知識の習得や運動能力の向上に資する製品、建築?空間、サービスにおいて、新たな発想、工夫、手法があるものとなっています。
キッズデザイン賞のWebサイト http://www.kidsdesignaward.jp/2017/
キッズデザイン協議会は、次世代を担う子どもたちの安全?安心の向上と、健やかな成長発達につながる社会環境の創出のために、さまざまな企業?団体が業種を超えて集うNPO法人です。