5月16日、東京藝術大学大学美術館にて、「いま、被災地から-岩手?宮城?福島の美術と震災復興-」展の開会式が行われました。
開会式では、主催者側から澤学長、全国美術館会議の建畠会長が挨拶し、来賓から文化庁前長官である青柳様、陸前高田市立博物館長の本多様から挨拶をいただきました。
澤学長の挨拶では東日本大震災から5年あまりが経過し、本学の文化保存学専攻が被災した作品の修復や、被災地への精力的な支援から被災作品の保全に努めてきたことの紹介や、全国美術館会議の震災直後からの収蔵品や作品資料のレスキュー活動への取り組みへの感謝と、本展覧会がその経過報告であることが伝えられました。
また、建畠全国美術館会議会長、青柳前文化庁長官からは3.11について全国美術館会議での経験が語られました。
全国美術館会議は神戸大震災の経験から、国内ネットワークの構築と非常事態のマニュアルがあったために、いち早く東日本大震災への対応にあたることができたことや、東京美術倶楽部の会長や画廊、美術関連の組合などと相談し、国内の400名余の美術家たちから小品を提供していただき、チャリティーオークションを開催し、皆様に購っていただくことで美術館の復興資金を集めることができたことなどのエピソードとともに、その活動をNHKニュースで取り上げていただいたことで、さらに多くの反響を得て、想像を超えた援助金が集まったことについての感謝が伝えられました。
(左)建畠全国美術館会議会長 (右)青柳前文化庁長官
本多陸前高田市立博物館長からは、陸前高田が芸術文化による町づくりを目指していたことで、多くの作品を所蔵していたという経緯や震災直後の状況、その後の修復について時系列に沿った報告とともにレスキュー活動、修復に携わって頂いた多くの方々への感謝の念が述べられました。
今後再び大きな地震や自然災害に見舞われた場合、その時々に応じたレスキューの仕方や協力の方法をまとめておくことや、継承することはとても重要であると、3.11から学んだ経験を最大限に活かし、しなやかな備えとしてリジリエントな対応に努めるべきだとし、この展覧会の大きな意味と、熊本の方々への応援のメッセージが送られました。
開会式終了後は一般内覧となり、招待者及び関係者は地下1Fおよび3階の展示室で、作品を鑑賞しました。会場には、岩手?宮城?福島被災3県の美術を紹介する作品のほか、東日本大震災で被災した文化財の修復の様子を伝える展示もあり、今後の復興について理解を深めることができます。
「いま、被災地から-岩手?宮城?福島の美術と震災復興-」は、平成28年5月17日(火)~6月26日(日)まで開催しています。
(左)本多陸前高田市立博物館長 (右)佐藤石巻市教育委員会事務局次長