8月23日、樋口政務官が東京藝術大学を訪れ、本学関係者と先進的な意見交換を行いました。
意見交換会では、まず澤学長から樋口政務官へ本学の紹介を行った後、本学の最近のトピックスについて各役員から報告を行いました。
まず光井副学長から、美術学部における「グローバルアート国際共同カリキュラム」について説明がなされ、今年度の成果が瀬戸内国際芸術祭(外部リンク)などにおいて発表されることが報告されました。
つづいて佐野学長特命からは、2020に向け、国公私立44の芸術系大学との提携?協力により「全国芸術系大学コンソーシアム」を設立したことについての報告があり、澤学長より音楽学部での「早期教育プロジェクト」や「ジュニア?アカデミー」といった若い演奏家育成への取り組みの報告がなされました。
また、宮廻学長特命からCOI拠点事業として、国内外での文化財保護や文化財複製特許技術研究やその成果についてなどの説明が行われました。
意見交換会の後、実際に本学における芸術教育?研究成果を体験していただくため、音楽学部第6ホールでのオペラ学生舞台リハーサルとCOI拠点 産学官連携棟(Arts & Science LAB.)へご案内しました。
第6ホールでは、本年度設置された音楽研究科オペラ専攻学生などによる10月8日(土)、9日(日)開催藝大オペラ第62回定期公演「W.A.モーツァルト コシ?ファン?トゥッテ」のためのリハーサルを行っており、永井教授による解説やミヒャエル?テンメ特別招聘教授による演出の様子などを視察頂きました。
その後、地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点として昨年(2015年)5月に開所したArts & Science LAB.へご案内しました。
まず1階エントランスでは、法隆寺釈迦三尊像3D復元プロジェクトとして、鋳造した釈迦三尊像を見学していただきました。“模倣から超越へ”オリジナルを超えていく技術革新が日本の強みであること、また復元の工程や当時の状況を再現するべく、道具づくりから行うこともあるなど、本学ならではの高い技術力や、取扱いの難しい文化財に対しての知識についてなど宮廻センター長の解説に、樋口政務官は強く関心を寄せていました。
復元された「法隆寺釈迦三尊像」や
「天翔る太陽神」に関心を寄せる樋口政務官(中央)
また、5月に開催されたG7伊勢志摩サミット’Terrorism and Cultural Property’会場にて展示し、オバマ米大統領をはじめ各国首脳に披露した、クローン文化財の法隆寺金堂壁画 「阿弥陀浄土図」と、バーミヤン東大仏天井壁画 「天翔る太陽神」について、各国の興味をひいたことや、文化財としての複製価値や存在意義、認知度を高めていく必要性についてなど、アーツアンドサイエンスで新たな感動のイノベーション創造を行いたいという宮廻センター長の思いに、樋口政務官は熱心に耳を傾けていました。
2階のコンテンツ開発研究工房では、高精細複製画の実際の制作現場を見学。複製制作に関する共同研究の推進を目的に、2016年2月にオランダ芸術科学保存協会 (NICAS;Netherlands Institute for Conservation Art and Science)と本学と協定締結を締結し、現在、最先端技術と伝統技法を活用してブリューゲル作「バベルの塔」、ゴッホ作「青い花瓶に入った花」など名画の複製制作プロジェクトに取り組んでいることや、その工程の複製画を直に見て、触れていただきながら、今後の革新的な複製制作技術の可能性についての説明がなされました。
高精細複製画「真珠の耳飾りの少女(フェルメール)」と共に
4階の球形シアターでは、COI「共感覚メディア研究グループ」によって制作されたドームプロジェクション映像を紹介。映像分野の新たな表現方法の広がりや展望について知っていただきました。
最後に、半球面のスクリーンに映し出された映像をバックに、澤学長の奏でる優雅なヴァイオリンの調べ「タイスの瞑想曲(作曲:ジュール?マスネ)」を鑑賞された樋口政務官は、本学で直に芸術に触れたことはよい経験になり、とても有意義な時間を過ごすことができたと感想を述べ、今後も世界に通じる我が国の芸術文化の発展に貢献しつづけてほしいとして、本学を後にしました。
澤学長のヴァイオリンに聞き入る樋口政務官(画面左)